北海道ニュース UHB | UHB 北海道文化放送

「●時から断水」「数時間後に大地震」震災時のデマなぜ拡散? 善意のつもりが実害も 北海道

2019年9月6日11:00
 北海道胆振東部地震から1年。震度7に襲われたあの日、北海道内ではSNSを中心に様々なデマが拡散しました。デマはなぜ拡散したのか、見極めるポイントを取材しました。


 【街頭で聞いてみると…】

 男性:「『断水が始まります』という情報が出ていた。ツイッターで。信じてとりあえず水を貯めた」
 女性:「『きょうの夜大きな地震が来る』、『●時から断水になる』とかLINEできた」
 女性:「知り合いから善意で『水が止まるらしいよ』とか、『地鳴りがするのでまた本震が来るらしいよ』と多方面から来ました。地震の研究をしている人でもわからないのだろうから、デマだなと思ったので、特に何も気にしなかった。善意のデマだ思う」


 【どのようなデマが?】

 実際にSNSに投稿されたデマです。

 「私の友人からです。札幌です。拡散してください!! 市職員からの情報です。10時半から市内断水とのこと」

 特に注目していただきたいのが、「私の友人から」とか「拡散してください!」、「市職員からの情報」、「10時半から市内断水」といった文言です。

 このような、「●時から断水する。水をためて! 」というデマが、地震当日、札幌市だけではなく苫小牧市、室蘭市、函館市など道内各地で拡散しました。

 この他にも、地震から2日後には苫小牧市で「自衛隊員から聞いた」という、「地鳴りがしていて数時間後に大地震がくる」というデマが拡散しました。

 また被災地のむかわ町でも「津波が来る。避難を! 」というデマが流れました。これらは、どれも実際には、そのような事実はありませんでした。


 【今回のデマの特徴は?】

 今回のデマに共通する特徴があります。ひとつは"伝聞"。「~から聞いた」とか「~とのこと」、「~らしい」との表現が多く使われています。しかし、よく見てみると一次情報が明示されていませんでした。

 そして、もうひとつは"根拠が不明確"。「市職員からの情報」とか「自衛隊員によると」など、一見公的な情報ではと思ってしまいますが、情報源は不明でした。

 今回の決定的な特徴は、"善意"でデマが拡散したということです。


 【デマはなぜ拡散したのか?】

 胆振東部地震でデマが拡散した背景には、北海道内295万戸を襲ったブラックアウトがあります。停電でテレビなどから情報が入ってこない中、SNSで善意の拡散が起こったといいます。

 道総研 研究主幹 戸松誠さん:
「停電下で出てきた情報を確認することができない中で、念のために伝えておきたいと思った人もかなりいた。専門的知識の高い工学系の大学生も、多分それはデマだと思いつつ、念のためにと拡散させたケースもある」

 このようにしてデマが拡散すると、それが善意によるものだったとしても、害を及ぼす結果が待ち受けています。

 道総研 研究主幹 戸松誠さん:
「今回は特に断水のデマで、『●時間後に断水』と聞き、水をため始める人がいた。(大勢が)一気に水をためると貯水量が下がり断水しかねない」


 【デマにより何が起こったか?】

 "善意"で"念のために"とデマが拡散すると思いもよらないことが起こり得るんです。「●時から断水」というデマの結果、どんなことが起こったか?

 北見市では給水量が急増し、スーパーでは水が品薄になりました。帯広市では卸売市場に飲料水を求める人が詰めかけました。

 苫小牧市は、ホームページとSNSでデマを否定しましたが、問い合わせの対応などで本来の災害対応に支障が出てしまいました。

 また、「自衛隊員から、地鳴りがしていて数時間後に大地震が来ると聞いた」というデマが広がった苫小牧市では、ある現象が起きていました。

 市が51か所に開設した避難所には地震当日の午後11時30分に最大294人が避難しました。その後、徐々に減少し、停電復旧が進んだ8日午後6時には64人にまで減りました。しかし、このころからデマが拡散し、その結果、避難者が再び増加して246人になったのです。

 夜間の避難は道路のひび割れなどが見にくく危険でもあり、二次災害の可能性も出てきてしまいます。


 【デマを見分けるには?】

 それでは、デマを見分けるにはどうしたらいいのでしょうか?

 今回のデマを分析した、道総研の研究主幹 戸松誠さんによると、

 (1) 伝聞・根拠の不明確な情報に注意すること。
 (2) 公的機関のHPやテレビ・ラジオの報道をもとに情報を見極めること。(停電時に使える対策も大切)
 (3) 科学的にあり得ることか考えること。「●時間後に△△で大地震」というような地震予知は裏付けがない。

 SNSに慣れてしまって、その情報のみを安易に信じてしまうのは避け、公的機関の情報を自ら確認する習慣を持ちたいですね。

 (UHB『みんテレ』内「ほぼ日刊八木タイムス」より)

直近のニュース