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遺言書が2通! どちらが有効? 母の残した遺言書が兄弟を引き裂く相続トラブルに…

くらし・医療 コラム・特集

兄弟別々の2枚の遺言書があったら…どうなる?(再現VTRより)

 身近で起きるお金のトラブルを実例を交えてわかりやすく解説、解決方法をお伝えする、みんテレの「北海道発! お金のトラブル」。今回のテーマは「遺言書があっても相続トラブル」です。

 遺言書があれば遺産相続はもめないと思いがちですが、遺言書があってもトラブルになるケースはあるんです。

 遺言書が法律上有効になる要件を満たしていなかったり、内容が不明確だったりする場合は問題になります。遺産相続案件に携わる岡崎拓也弁護士(札幌弁護士会)に解決方法を伺います。

遺言書あってもトラブルになった事例

次男は母から5年前に遺言書を預かっていた。(再現VTRより)

 母親を亡くした一家。父親はすでに他界し、相続をするのは長男と次男の2人です。

 残された財産は現金3000万円と自宅不動産5000万円を合わせた8000万円。遺言書がなければ、相続財産は2分の1ずつの4000万円ずつです。

 しかし、次男はより多くの遺産を相続できる確信がありました。なぜなら、母親から遺言書を預かっていたからです。母親は昔から末っ子である次男をかわいがっており、死去の5年前に、「次男にすべての財産を渡す」と書いた遺言書を用意していたのです。

10年以上母と同居していた長男は1年前に遺言書を預かっていた。(再現VTRより)

 これで決着するかと思いきや、長男が懐から取り出したのも遺言書。実は、長男は1年前に母親から全財産を相続できる遺言書を受け取っていました。

 なんと遺言書が2通存在することになるんです。

 10年以上にわたって母親と同居していた長男は、生前体調を崩していた母親の面倒をずっと見てきました。それもあったのか亡くなる1年前に、新たに「長男に全遺産を渡す」という遺言書を書いていたのです。

 突然現れた2つの遺言書。いったい遺産の行方はどのようになるのか?

遺言書が2枚! どちらが有効?

2つの遺言書、どちらが有効になるのか?(再現VTRより)

――なんと遺言書が2通存在することになるんです。こうした事例は本当にあるんですか?

岡崎弁護士:
本当にあります。私の体験だけでも数件巡り会った事例です。


――この場合は、どちらが有効になるのでしょうか?

岡崎弁護士:
実はこの場合は、長男の遺言書が有効となるんです。新しい遺言書が遺言する方の直近の意思を反映していますので直近の遺言が優先されます。

この場合、次男と長男の遺言書は「全遺産を相続させる」という同じ内容ですので、同じ内容であれば新しいものが有効ということになります。


 民法第1023条1項では、「前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす」と明記されています。

 では、弟は全く遺産を受け取れなくなるのかというとそうではなく、「遺留分」という制度があります。「遺言書の内容に関係なく最低限の遺産を受け取れる権利」のことで、これを主張すれば、次男は法定相続分の半分を相続できます。

 今回のケースだと、次男の法定相続分は半分の4000万円で、その半分である2000万円は「遺留分」として受け取れます。


――有効な遺言書は「全財産を長男に相続させる」と書いてあるが、次男に渡ってしまっていいものなのでしょうか?

岡崎弁護士:
遺留分という制度は相続人の生活保障や、遺産形成に貢献した相続人を保護する制度で、これは原則遺言書によっても奪われないということになります。


――例えば、男性が愛人に「全財産を渡したい」と遺した場合、奥さんが1円ももらえないかというと、そうではない?

岡崎弁護士:
遺留分は必ずもらえます。


 ただし注意しておかないといけないポイントもあります。遺留分を受け取れる人は、配偶者、子ども、両親、祖父母に限られます。また受取人の請求が必要で、期限は1年です。

岡崎弁護士:
請求しないと実現しない権利ですので、行使しないといけないということです。その期間が1年です。

みんテレ