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関東大震災から100年 映画『福田村事件』全国初の先行上映 森達也監督が札幌で会見

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舞台挨拶する森達也監督

舞台挨拶する森達也監督

 9月1日から全国公開する映画『福田村事件』。関東大震災直後、「朝鮮人が集団で襲ってくる」などの流言飛言が飛び交う中、福田村(現在の千葉県野田市)で日本人が朝鮮人と間違われ、100人以上の村人たちにより、9人が殺害された事件だ。全国公開に先駆け8月18日、札幌市のシアターキノで全国初の先行上映と舞台あいさつが行われた。

 監督を務めるのは、オウム真理教に密着して実態を撮影した「A」をはじめ数々のドキュメンタリーを世に送り出してきた森達也監督。自身初となる実話に基づいた劇映画。100年前に実際に起きた虐殺事件を題材に、不安や恐怖にあおられた時、暴走する群衆の心理を克明に描いた森達也監督が、札幌で会見を開いた。

作品について語る森達也監督

作品について語る森達也監督

 『福田村事件』が起きたのは、1923年9月6日。関東大地震が発生したわずか6日後のこと。流言飛言が飛び交う中、千葉県東葛飾郡福田村に住む自警団を含む100人以上の村人たちにより、利根川沿いで香川から訪れた薬売りの行商団15人の内、幼児や妊婦を含む9人が殺された。行商団は、讃岐弁で話していたことで朝鮮人と疑われ殺害されたのだ。逮捕されたのは自警団員8人。逮捕者は実刑になったものの、大正天皇の死去に関連する恩赦ですぐに釈放された...

©「福田村事件」プロジェクト2023

©「福田村事件」プロジェクト2023

 その後、事件は100年の間、歴史の闇に葬られていた。本作は、脚本家の荒井晴彦が企画。監督を数々のドキュメンタリーで人間の本質を鋭く切り取ってきた森達也が務め、井浦新、田中麗奈、永山瑛太、東出昌大、コムアイ、ピエール瀧、水道橋博士、豊原功補、柄本明ら豪華俳優陣が出演。関東大震災からちょうど100年となる今年、日本人にあまり知られていない凄惨な虐殺事件の深層、不安と恐怖の中で暴走する群集心理を、リアリティ溢れる演出で描いた衝撃作となっている。

©「福田村事件」プロジェクト2023

©「福田村事件」プロジェクト2023

 森達也監督は「脚本を作るにあたって事件の記録はほぼ皆無だった。虐殺シーンは、裁判記録、短い新聞記事、辻野弥生さんの書籍『福田村事件?関東大震災 知られざる悲劇』などを少ない資料をもとに、想像力で創り上げていった。脚本家と調べていくうちに、当時と現在の時代状況が似ていると気づいた。それならば、関東大震災から100年を迎える2023年に公開しようとなった」