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「パパを戦争から帰らせて」 突然ロシア軍に動員された夫 監視されても抗議続ける妻 #平和を願って

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軍務経験のない夫から突然のメッセージ…「動員される」2時間後に出発

部分動員令の発令で演説するプーチン大統領(ロシア大統領府HPより)

部分動員令の発令で演説するプーチン大統領(ロシア大統領府HPより)

 「心配しています。仕事も普通の生活もできません」。参加者のひとりで、モスクワ郊外に暮らす会社員、エレナさん(42)=仮名=が後日、自宅で取材に応じてくれた。

 エレナさんの夫、ミハイルさん(37)=仮名=が動員されたのは、軍事侵攻が始まって7か月後の2022年9月だった。

 ロシア軍はウクライナ軍の反転攻勢を受け、多くの死傷者を出した。兵士の不足を補うため、プーチン大統領は9月21日、予備役の部分動員令に署名。すぐに動員は始まり、軍務経験のないミハイルさんも翌22日、召集された。

 「見送りに来て。動員されるから」。仕事中、夫から突然メッセージが届いた。「2時間後に出発する」と続き、召集令状の画像が添付されていた。

 職場に事情を伝え、すぐに飛んでいったが、バスに乗せられて戦地に向かう姿を遠くから見守ることしかできなかった。

 エレナさんによると、夫はロシアが実効支配するウクライナ東部の激戦地に送られた可能性が高い。

 戦地では通信状況は安定せず、3カ月以上、連絡が取れないこともあり不安が募った。砲撃の音が聞こえたこともあった。

 「バーン、バーンと大きな音がして、『早く逃げて! 隠れて!』 と叫んだこともあります」

 最近はやりとりする機会は増えたが、監視されている。

 「本当は電話で話すことは許されてはいません。チェックされ監視されているのは分かっています」

 夫が戦地にいることを身につまされる。

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ミハイルさんが戦地から連れ帰ったネコとエレナさん

ミハイルさんが戦地から連れ帰ったネコとエレナさん

 2023年9月、ミハイルさんが戦地でがれきの下から助け出した子ネコを連れ、いったん帰ってきた。1年ぶりの再会。14日間の休暇だった。

 期間中、夫と9歳の次男の3人で、ロシア南部の保養地ソチを旅行した。大学生の長男とも自宅での団らんを楽しんだ。

 料理が得意なミハイルさんが家族の大好物を振る舞うことも。まるで侵攻前の日常生活のようだった。

 気になるのは戦地の暮らしぶり。エレナさんからは聞かないようにしていたが、夫は時折、自ら語りだした。

 「3カ月間シャワーを浴びられず、洗濯もままならないと言っていました」(エレナさん)

 装備すら自前だった。保養所のような兵舎を紹介する国営放送の報道とは明らかに違った。