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進歩するAIとどのようにつきあうか?―AI技術の進展と人間の未来―
近年最も注目されているテクノロジーがAI(人工知能)である。世間一般では特に企業がAIという言葉に敏感になっている。
今回のUHB大学の講演は北大大学院教授で人間知・脳・AI研究教育センター長の田口茂さん。田口教授は哲学博士で専門は哲学だが、10年前から科学者と共同研究をしている。
AIは大量のデータからパターンを認識させることだが、田口教授によるとそのデータの中身をどうするかが大事で、AIに「意識をもたせよう、人間のように退屈できる能力をもたせよう」という研究もあるとのことだ。
だから「AIを研究する」ことと「人間について考える」ことはいわば車の両輪と強調した。
1980年代のAIはエキスパートの知識を溜め込んでいく、例えば医者の知識を全て入れてみる。しかし欠点はその範囲を外れると機能しないのである。
プログラムは人間が入れてAIは確実に実行する。つまり100%命令通りに動くが具体的な指示がないと稼働しないのである。
2010年頃からディープラーニング(人間の脳からヒントを得たアルゴリズム)という手法で大量の情報を統計的に処理し、AIの精度は大きく向上した。
AIがゲームをするなど、どんどん勝手にAIが賢くなっていく。その結果囲碁のアルファ碁でAIが世界のトッププロに勝ち、センセーショナルを巻き起こした。
最近ではAIに大量の文章を読み込ませると次の言葉を予測してAIが新しい文章を作れる。人間が前半を書くと後半をAIが書いてくれるのだ。さらに「ダリ」というAIは適当な文章を与えると画像を制作するのである。
また自動車レースゲームでAIがレースドライバーに勝ったことも。AIは駆け引きも学習したのである。
AIはどんどん進歩するが特定のタスクに特化している。分野が限定されているため、例えば法律の判例を全て読み込んで事務所のパラリーガルなら向いているが、コンビニ店員のような多岐の業務をこなすことは無理と田口教授は言う。
これから未来のAIは人間とパートナーとなれるものが良い。ある研究者は「人の痛みが分かるAI、弱みを抱えるAIが必要」と言う。
人間の能力を超えるAIが増え、AIを鏡として人間を考える。人間として生きることは何なのか、我々は何に重きをおくのか、何を大事にするかはAIを通して見えてくると田口教授は結んだ。
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