それでも歩み続ける「頑張って生きていかなければ…」北海道胆振東部地震から5年 復旧事業ほぼ終了も…"住居再建"に課題
国により特定非常災害に指定されると仮設住宅の入居期限が延長可能となります。胆振東部地震と同じ最大震度7を観測した、2016年の熊本地震は特定非常災害に指定され、仮設住宅の使用が4年間延長されています。
しかし、死者行方不明者の数や全壊家屋数などの基準があり、現在まで7件しか指定されていません。
「我々は相当踏ん張った。せめて、3年にしてほしい」(厚真町 宮坂町長)
当時、被災者の住まいの再建を担当していた町の職員も。
「まだ支援制度もはっきりわからない中で、本当に自分が家を建てられるかどうかもわからない。そんな状況で『災害公営住宅に入るかどうか決めてください』というのはかなり酷な質問だったと思う」(厚真町 まちづくり推進課 小山 敏史さん)
北海道の場合冬の間は建物の基礎工事が難しいなど制約があり、住宅の再建には時間を要します。災害時の支援制度に詳しい専門家は、全国一律の規定に疑問を投げかけます。
「地域の状況を見たら(期限が)2年3か月では無理なパターンもあったはずだが、そのような期限を設けていたところに問題があった」(関西大学 社会安全学部 山崎 栄一教授)
法律の改正により昨年度から都道府県や政令指定都市の判断で使用延長が可能となりましたが、国からの経済的支援は打ち切られます。制度そのものの見直しが必要だといいます。
「北海道などの寒冷地では、最初から半年間(期限を)延長するなど制度設計が必要」(関西大学 山崎教授)
中古住宅に移り住んだ農家の佐藤さん。地震の前はコメとホウレンソウなどの野菜を作付けしていました。
「(Q:この重機は?)これはね正芳の遺品」(佐藤 泰夫さん)
隣に住んでいたいとこの正芳さんは土砂崩れで亡くなりました。
遺品のショベルカーで復旧作業を行い、コメは被災前の規模に戻りましたが野菜はまだほど遠い状況です。
「(Q:これが埋まっていた?)埋まっていた。コンクリートだから、正芳の住宅の基礎では。かなり捨てた。トラック2台分ぐらい。本当は元の自宅を休憩所にすればいいかなと思うが、休憩できるような心境にはならない。時間が解決してくれるというが、ただ、ふたをしてるだけ」(佐藤さん)