北海道の海に“異変”が…季節外れのイワシの大群が押し寄せ「入れ食い状態」…一方で春の風物詩“甘エビ”は8割減の記録的不漁 意外な因果関係も
季節外れのイワシの大群が押し寄せ、釣り人でにぎわう港。
一方で甘エビは記録的な不漁となっています。
一体何が起きているのでしょうか?
「北海道石狩市の石狩湾新港に来ています。岸壁のそばに大量の魚の群れが寄っています。イワシです」(関根 弘貴 記者)
海の中を所狭しと泳ぐイワシ。
大勢の釣り人が訪れています。
釣り糸を垂れると、すぐに釣れるほどです。
一度に2~3匹がかかることもあり、小さな子どもでも簡単に釣ることができます。
「3時間で100匹ぐらいは釣っている」(札幌市からの釣り人)
「見ての通り入れ食い状態。ママはかば焼きにすると思う」(当別町からの釣り人)
「刺身、なめろう、煮つけ、圧力鍋で。すごくうまい、脂が乗っている」(岩見沢市からの釣り人)
北海道近海のイワシの旬は、夏から秋にかけてです。
本来、今の時期はいないはずのイワシが、なぜ、こんなに押し寄せているのでしょうか?
「マイワシの性質として、10℃以上の水温を好むと言われている。冬の水温が高くて北海道の沖合に居残ったか、水温が下がっても南に帰れなくて北海道沿岸に取り残されてしまったか」(中央水産試験場 山口 浩志 研究主幹)
釣り人にとってはありがたい季節外れのイワシの大群ですが、地元の漁業関係者にとっては厄介者です。
もともとイワシは漁の対象ではなく、ニシン漁の刺し網に大量にかかってしまい本来の漁に影響が出たというのです。
また、海岸に大量のイワシが打ち上げられ、その処分に人手が割かれるケースも。
一方で、記録的な不漁に見舞われているのが留萌地方の特産品の甘エビです。
地元の漁協によりますと、増毛町沖で4月15日に水揚げされた甘エビは約1トン。
ピーク時の半分ほどになっています。
3月にエビかご漁が解禁されましたが、記録的な不漁が続いています。
稚内水産試験場によりますと、日本海側の甘エビの漁獲量は2005年には3000トン近くありましたが、2022年は451トンと約8割も減りました。
「ここ2~3年、特に減ってきている。3年前と比べ半分以下に減っている」(増毛町の漁師)
羽幌町では十分な水揚げ量が確保できず、名物イベントの「はぼろ甘エビまつり」の中止が決まっています。
この記録的な不漁の背景には、季節外れのイワシの大群が密接に影響していました。
「春先の甘エビの不漁はイワシが原因。イワシの死骸が海底に沈んでいて、甘エビがかごに入らなくても良い状態になっているので、結果的に甘エビが取れない状態になっている」(山口研究主幹)