「以前より安全に運航している」「昔のように戻って」知床の観光船沈没事故から2年…"観光のマチ再生"へ一歩ずつ 自然のすばらしさ伝え続ける 北海道
観光客の減少の影響はほかにも…。知床クルーザー観光船ドルフィンの元船長だった鎌田日出明さん(65)です。
「こんなことがなかったら今年だってちゃんと営業できていたのに」(観光船の元船長 鎌田 日出明さん)
3月までドルフィンの船長だった鎌田さん。いまは別の仕事をしています。
Q:3月末で廃業にした?
「廃業すると社長が言っていた。今は漁師の船乗っている」(鎌田さん)
ドルフィンは事故のあおりなどを受け観光船の乗客が激減。
2023年の売り上げはコロナ禍前の2019年の半分にまで落ち込みました。
「事故後はお客さんも警戒するというか、結局あの事故以来、ルールを作った。風があると出られない回数も多くなった」(鎌田 日出明さん)
客に安心して観光船を楽しんでもらおうと事故後、観光協会や小型観光船協議会を中心に安全運航に向けたルールが作成されました。
運航基準はもともと各社ごとに違いましたが、今回の事故を受けて統一化。港内の波の高さが0.5メートル以上・風速8メートル以上・視界300メートル以下だったら運航しない、原則、単独で運航はしないなどとしました。
安全に知床の大自然を堪能してほしいと導入したルール。導入後、事故は起きていませんが、一方で出航する回数も減少。夏場の短い観光シーズンをターゲットに運航する事業者には、厳しい状況となりました。
「俺はここ好きなところだし、素晴らしいところ。毎日そう思って仕事してきたからね。それだけにやっぱりあの事故はものすごく悔しいし、腹立つ」(鎌田 さん)
観光船の仕事は一区切りとなりますが、鎌田さんは諦めていません。
「このシャチの動画もね、50本くらいあるんだよ。これがシャチね。船に遊びに来ているんだよ。(客が)ありがとうって言ってくれるときがやっぱりやりがいがある。俺たちもうれしくなる。また観光船の仕事に携わりたいなと思っている」(鎌田さん)
さらに地元では陸上のツアーも含めた体験型観光をより安全に行えるよう、荒天が予想される場合にツアー中止を要請する事務局を設置することを決定。
北海道斜里町や観光協会が中心となり、夏場のスタートを目指します。