“ローカルから世界へ挑戦”ゼロから始めたカーリングで地域づくり
「ロコ・ソラーレ」本橋麻里さん #BOSSTALK
理想のチームづくりに失敗して散るなら故郷・常呂で 覚悟して設立
――チームは北海道、そして地元・常呂で作りたい気持ちがありましたか?
自分がやりたいことをして、(失敗して)散るとしたら、どの場所が良いかと、そこまで考えたんですね。私のチャレンジはだれもやったことがなく、失敗するってすごく(周囲から)言われたのです。失敗するとしたら、どこが良いだろうか―。そう考えて故郷で散ろうと決めました。すごく入念に計画立てて実行すると言うより、直感や感覚で考え、妄想みたいにイメージをして、どっちが自分がワクワクするか、頑張れるか、踏ん張れるかっていうふうに(その場その場の判断で)選んできました。
――どういうことから実践しましたか?
拠点を変え、チームを作りたいと説明すると、「既存のチームから良い選手だけを引っ張るのはやめて」って言われたのです。メンバーの進学で分裂するようなチームの中から、吉田夕梨花選手や鈴木夕湖選手に声をかけました。
完璧主義に限界 周囲に託すことで上がった仕事の質
――ロコ・ソラーレを作った後のソチ五輪(2014年)に出場できなかったときの思いは?
今だから言えるのですが、メディアの方が、私が日本代表から離れてチーム作って、次のソチオリンピックには出ますよね―という感じで振ってきて、私に「うん」と言わせたいと思われる質問を投げかけてきました。私の中ではソチ五輪も見てはいるけど、そこがメーン(の目標)ではなく、その後からスピード感を上げていく準備をしていました。スウェーデンの選手に良いイメージがあり、その(子育てをしながらプレーする)方向に行ければより良いチームができると思っていました。
――翌2015年にご出産を経験され、何か変わりましたか?
よくインタビューでカーリングが子育てに何か影響を及ぼしましたかって尋ねられます。
体力だけです。逆に育児、子育てがカーリングに及ぼす影響がすごく多くありました。できないことは人に助けを求めるようになりました。ご飯を食べたいときに子どもがぐずってしまったとき、先に食べ終わったメンバーが抱っこをしてくれたり、「麻里ちゃん、今食べて」と言ってくれたり。何でも完璧にやろうとした自分の弱さを見ることができ、人に託すことの大切さに気付き、それで仕事の質が上がることを学びました。