お酒の力でまちおこし“地方創生蔵”として地域に根ざす 「上川大雪酒造」塚原敏夫さん #BOSSTALK
「このまちにみんなが来てくれるお酒に」 地域限定販売が奏功
――初めてできた酒を口にされた瞬間、どんな思いがこみ上げましたか?
びっくりするぐらい実感がありませんでした。逆に、これからどれだけ買っていただけるのかで頭がいっぱいでした。地元の方や周りの方に本当にお世話になったという気持ちが強く、このまちにみんなが来てくれるようなお酒にしたいと思いました。
よそには出さず、ほしければ上川町へ来てくださいと(地域限定販売に)しようと決めたのです。ただ、当時、新たな酒蔵が全国的になくて、ニュースになり、全国から毎日のように「ぜひ、取り扱いたい」と取引の相談がありました。
ですが、全部お断りしました。ほしければ、ぜひ、上川にどうぞ来てくださいと。地方創生蔵を前面に出して、最初から(規模を)大きくせずに事業を進め、みんなが何か応援しないと、なくなってしまうみたいな(危機感が広がる)中で、逆にそういう雰囲気が経営には良かったのかなと思います。
――今ボスとして、どういうことを考えながら、過ごされていますか?
視察で酒蔵にお見えになった方々から「塚原君の酒蔵はみんなすごく楽しそうに働いている」って必ず言われます。それがすごくうれしくて、そんな酒蔵を業界としても会社としても経営者としても目指したいですね。
「北海道を酒どころに」が夢 道産酒好きの道民が増えるのが第一歩
――これから先、上川大雪酒造としてどんな未来を描いていますか?
本州の日本酒専門店さんに行き、全国の地酒のメニューを見てみると、北限は青森ですね。地酒マップでも青森県が北限です。
まだまだ、そういう飲食店さんが多く、北海道で日本酒を造っていると話すと、「北海道でも造れるんですね」と驚かれます。知名度はその程度です。
北海道民が今飲むお酒のうち、道産酒の比率は約2割と言われています。コップで5杯飲んだら1杯しか北海道のお酒飲んでないのです。
北海道の酒を4杯に1杯飲むようになったら、北海道は本当に酒どころになると期待しています。北海道の方々にもっと道産酒を飲んでもらうことと、全国地酒マップに北海道を載せることを目標に頑張りたいです。